大学入試センター試験国語 2018本試[3(古文)]解説

目次

解説

選択肢の吟味において、「×・△・?」を選択肢の該当箇所に付けていきます。×は「これはちゃうやろ」、△は「ちゃうかもしれん」、?は「びっみょ〜」って感じです。

問1

(ア) 正答①

ややむずな気がしました。「あながち」は現代語でも「強ち」なので、がんばってる感じがします。現代語の「あながち」は「あながち間違いではない」みたいな感じで、「一概に(〜ではない)」みたいな使い方をしますが、古語では「強情に」みたいな意味の方が強いです。ただ、現代語に引っ張られて「かえって」「なんとなく」を選びそうになります。一方「わりなし」は「ことわりなし(理なし)」なので、理が通っていなかったり、秩序がなかったりする状態です。じゃあ②やないか!という感じなのですが、そこは文脈をちゃんと取りましょう。笑

傍線部(ア)が含まれる段落は、概ね次のような内容です。「大体の世の中の人々が深く願うことは、恋愛を思うことよりも、繁栄や財宝を求める心などの方が(ア)と見えるのに、どうしてそのようなこと(=繁栄や財宝を求める心)は歌に詠まないのか」。よって、(ア)は「繁栄や財宝を求める心」をあんまり否定していてはいけません。②だと「繁栄や財宝を求める心」が理不尽なものとして扱われてしまいますが、①だと「繁栄や財宝を求める心」を否定していませんので、文脈に合います。「あながち」は「強情に」→「ひたむきに」、「わりなく」は「秩序がない」→「抑えがたい」としている感じです。

(イ) 正答③

「いかようにもあれども」がつづまった感じのような表現かと思います。「いかに」が「どう」系列を表すというのは大丈夫かと思いますが、該当箇所の句末が(その次に来るのは読点であり、本来であれば連用形が来そうなものなのに)「あれ」という已然形で終わっているのが不思議な感じですが、その結果「〜であっても」というような意味合いが付加されています。

(ウ) 正答⑤

「さらに〜打消」で「全く〜ない」であることは絶対に押さえておきましょう。これを抜かしていてはお話になりません。てか本問はこれだけで解けますね。また、「なつかし」は今回あまり絞る材料になりませんが、「心にくっつく」が概ねのイメージですので、「心ひかれる」で良いかと思います。

問2 正答③

ちょっと迷いましたが合ってました。適当でないものを選びますので、③以外は合っているということになります。ちょっと一つずつ見ていきましょう。

選択肢の吟味

①「あらねばにや」の「ね」が打消の助動詞「ず」の已然形です。「ず」の活用にはラ変活用する「ざらざりざるざれ」系列と、特殊型の「ずずずぬね」系列がありますが、「ずずずぬね」の「ね」ですね。活用表あんまり覚えられてない人、ちゃんと覚えましょ。

②これちょっと細かい知識なので難しいかもです。断定の「なり」は連用形に「に」という形を持ち、「に/あり」の形でまとめて「〜で/ある」みたいな意味を表すのですが、それに疑問の係助詞「や」が挟まると「にやあり」になります。「にやあらむ」などでよく見ませんでしょうか? で、これの「あり」が省略されると「にや」になっちゃうんですね。今回もこの「にや」なので、断定の「なり」が使われているので適切です。なんとまぁ。

③正答です(つまり誤りです)。「あらねばにや」の「ば」が焦点になりますが、接続助詞の「ば」は、前が未然形であれば仮定条件(〜ならば)、前が已然形であれば確定条件(〜ので)となります。で、今回は①で見た通り、「ね」は打消の助動詞「ず」の已然形ですので、仮定条件ではなく確定条件です。

④こちらも適当です。②の解説で見た通り、「あらねばにや」の「や」は「にやあらむ」という定型句の中に含まれる疑問の係助詞です。

⑤波線部中に「に」は三つ含まれていますが、最初の「身にしむばかり」の「に」が格助詞の「に」です。二回目の「細やかには」の「に」は、形容動詞「細やかなり」の連用形活用語尾かと思います。三回目の「あらねばにや」の「に」は②の通り、助動詞の「なり」ですので、格助詞の「に」が一度用いられているという説明で問題ありません。

問3 正答②

傍線部Aの後、「答へて云はく」の段落で解けます。直接的な理由は段落後半の「そもいかなればかくあるぞといふに(そもそもどうしてこのようであるのかと言うと)」の後にあるように、「恋はすべての心の動きの中でも特段深く人々の心に沁み、大変耐えがたいものであるからだ」となります。この箇所の内容を含みつつ、ようわからんことを言っていないものが正答です。

選択肢の吟味

①「恋の歌が多い『万葉集』の影響力が強かったため」が△です。万葉集にも恋の歌(=相聞)が含まれていますが、「万葉集の影響が強かったから恋の歌が多い」とは書かれていません。ただ、今回の本文・設問とは別のことと捉えてほしいのですが、実際のところ万葉集の影響力が弱かったというわけではありません! 現実として万葉集の影響が強いと言えるシーンは多くあります。今回の本文ではその点を明示的に示していませんので、今回の設問においては適切ではないという判断です。

②正答です。前半は上述の解説の通りです。後半「恋の歌が上代から中心的な題材として詠まれている」は、傍線部Aのすぐ後、「上つ代の歌どもをはじめて、代々の集どもにも、恋の歌のみことに多かる」からOKです。

③「相手への思いをそのまま言葉にしても、気持ちは伝わりにくいので」が?です。ちょっとどこにそんなことが書いてあるのかわかりません。一般的に「そうかもしれない」と思わせる選択肢であっても、本文に書いていなければ選択肢としては誤りです。

④「恋の歌は相聞歌のみならず四季の歌の中にもあるため」が△です。万葉集では歌を「雑歌、相聞、晩歌」と分類していますが、「八の巻、十の巻などには四季の雑歌、四季の相聞」というように「四季の相聞」というカテゴリが存在しますので、「四季の歌」と「相聞」が別枠かのように説明している当該選択肢の記述は適切ではありません。

⑤全体的に誤りです。「雑歌」は「粗雑な歌」ではなく、「その他の歌」のような意味合いで、「相聞(恋の歌)」と「晩歌(死者を悼む歌)」以外の歌をまとめて言うジャンルです。「雑歌」という語を誤解させて惑わせてくる選択肢ですね。

問4 正答③

「情」と「欲」の違いを整理していきましょう。「情」の方が広い概念で、「まづすべて人の心にさまざま思ふ思ひは、みな情」ですが、その中でも「かくあらまほし(こうありたい)」と求める思いを「欲」としています。ただ、本文では少し視点を狭めて「狭義の『情』」のようなものも述べられており、「人をあはれと思ひ、かなしと思ひ、あるはうしともつらしとも思ふやうの類」です。

「情」と「欲」は互いにさまざまな関係を持ちますが、とりあえず歌は「情」の方から出てくるものである、とは明言されています。

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