大学入学共通テスト国語 2021追試[3(古文)]解説

目次

解説

選択肢の吟味において、「×・△・?」を選択肢の該当箇所に付けていきます。×は「これはちゃうやろ」、△は「ちゃうかもしれん」、?は「びっみょ〜」って感じです。

問1

(ア) 正答①

この設問は③を選んで間違えました〜そうか〜という気持ちです。「夕霧たちこめて、道いとたどたどしけれども」から、不気味な感じかな〜と思っていましたが、違いました。どちらかというと傍線部の後に続く「今はそのかひあるまじきを」との接続を重視するようです。「深き心をしるべにて〜思せども」を解釈すると、「深い思いを道標にして、急いで向かいなさるが、一方では不思議なもので、今はそのように急ぐ甲斐もないだろうに、とお思いになるが」という感じになり、男君の道中の複雑な心情を描いています。あと「あやし」も、「不気味」と言えないことはないと思いますが、さすがに「不思議」の方が近いとは思います。ただこれだけで決め打ちできる話でもないのかなと。傍証として。

(イ) 正答③

「はかなく」はあまりしっかりしていない感じですね。現代語の「はかなげ」とそんなに遠くありません。「しなす」はサ変動詞の「す」に動詞の「なす(為す・成す)」が複合した形で、「〜するように(意図的に)する・させる」みたいな感じです。全体として「ちゃんとしてない感じにするようにしてある」という感じなので、「しつらえてある」はいい訳出ですね。①・②・⑤は上述の「しなす」の訳出があまり良くなく、④は「はかなし」からちょっとズレています。

問2 正答

②と⑤で悩んだ結果、⑤を選んで間違えました。。。「だに」と「まほし」が呼応していると言えるのかしら……と思ったのですが、言えるそうです(呼応の副詞といえば「せば〜まし」「ましかば〜まし」ですね)。各選択肢について見ていきましょう。

選択肢の吟味

①「『ありし世の夢語り』には、二人の仲は前世からの縁であるはずだと、男君が夢想していたことが表現されている」が△です。女君が出家していることはリード文から分かりますので、「ありし世の夢語り」は原義的な「前世」ではなく、女君が出家する前のことを指しているかと思います。まぁ出家は(俗世=この世から)一回死ぬようなものなので、「ありし世」もあまり誇張ではありません。また、「世」は「男女の関係」という意味もありますので、「(男君と女君の)かつての関係」と読むこともできるかと思います。

②正答です。私が外した観点は、「だに」と「まほし」が呼応の関係と言えるのかな〜と思ったところと、「だに」は通常「さえ」と訳出するので、「わずかな望みにもすがりたい」と言えるかな〜と思ったところがあります。「だに」に「せめて〜だけでも」というような用法があることを今となっては覚えておりませんでした(ごめんなさい)。

③全体的に×です。「語り合わせ」の「せ」は普通に動詞「合わす」の活用語尾かと思います。「語り合う」を使役にするのはなかなか難しいですし、したとしても自分を除く二者に「語り合わさせる」かと思いますので、文脈からしても不適です。

④「『急がるる』の『るる』は可能の意味で」が×です。自発の意味で、「自然と急がれるお気持ちであっただろう」かと。

⑤これを選んでしまったのですが、「『侍らめ』が省略されている」が×ですね……。「なむ」の後に省略されているのは正しいのですが、地の文に丁寧語が用いられていないので「侍り」になるのはおかしいというのと、入っている係助詞が「なむ」なので、文末は連体形になるはずで、「め(已然形)」ではなく「む(連体形)」でないといけません。よって省略を補うとすると、「御心地になむあらむ」でしょう(「御心地になむある」の方が自然な気はします)。そういう文法的なことで間違ってるのね……(文法絡みの設問なので、それはそう)。余韻を持たせてるっていうのは、まぁ間違いではないんじゃないですかね?

問3 正答⑤

傍線部がないタイプの問題なので、該当箇所をなんとなく断定して判断していかないといけません。逐一選択肢を見ていきましょう。

選択肢の吟味

①「先導の者が露を払いながら進むのを見て、山道の雰囲気に合う優美な様子だと思っていた」が△です。四行目の「御随身いとやつしたれどさすがにつきづきしく、御前駆の露はらふ様もをかしく見ゆ」が該当箇所かと思います。「つきづきし」は「似つかわしい」「場に即している」という意味ですが、ここで「つきづきし」いのは、先導の者の様子ではなく男君の格好のことです。「男君が、とても控えめな格好をしていたけれどかえって(山里の様子に)似つかわしく」という感じで、少しだけ選択肢の説明とはズレています。

②「その童が余計な口出しをするのを不快に思い、黙っているように命じた」が△です。六行目から九行目に該当しますが、童はちゃんと道と状況を教えてくれているので、「余計なこと」には当たりません。また、男君は「しばらく静かにしていろ」とは言っていますが、普通に一人で入っていくうえで静かにしといてほしかったものと思います。

③「かつて二人で過ごした場所の雰囲気によく似ているのを見て、懐かしさを覚えた」が?です。十行目の「小柴といふものはかなくしなしたるも、同じことなれど、いとなつかしく」が該当箇所かと思います。「同じことなれど、いとなつかしく」は、女君がいる山荘の小柴が、「並一通りの様子と同じことなのだけれど、(女君がいる山荘なので)とても親しみが持てて」という意味合いかと思います。「なつかし」が現代語の「懐かしい」というような意味合いを持つようになったのは鎌倉時代以降らしいです(私も調べて初めて知りました)。

④「仏道修行に励んでいる女君の姿を目にし、女君の敬虔さに改めて心ひかれた」が△です。十二行目から十四行目が該当箇所となりますが、この箇所は嗅覚(お香の香り)と聴覚(経の巻き返す音)で女君の存在を浮かび上がらせている場面です。男君が女君の姿を目にしたのは、十四行目の「行ひはてぬるにや(勤行が終わったのだろうか)」の後、「いみじの月の光や(大層素晴らしい月の光だこと)」という女君のつぶやきとともに、十六行目になってようやくとなります。

⑤正答です。二十一行目「しのびやかに〜さのみはしづめ給はずやありけむ(そのようにばかりじっとしていらっしゃれなくなったのだろうか)」が該当します。

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問4 正答②・⑤

正直なところ難しかったです。よくわかんね〜と思いながら、違いそうな選択肢をいくつか外して、あとは読めるところをつなぎ合わせた理解で、不自然な流れになる選択肢をはずして残ったものを選んだら合ってました。本問に関わる解釈、多少自信がないです(すみません)。こちらも傍線部がないので、選択肢ごとに見ていきましょう。

選択肢の吟味

①「着物の袖をつかまれたことで、涙がこぼれるほど恐ろしく感じた」が△です。二十三行目の「奥ざまに引き入り給ふ袖を引き寄せ給ふままに、せきとめがたき御気色を、さすが、それと見知られ給ふは(奥の方に引き戻りなさる袖を引き寄せなさったところ、とめどなく溢れる気配とご様子で、(女君は)やはり男君だとお分かりになって)」となり、袖を掴まれてからの女君は、袖を掴んできたものが男君だとわかっています。

②正答です。二十四行目の「ひたすらむくつけきものならばいかがはせむ」は、「いっそのこと恐ろしい化け物だったならばどうしただろうか(いや、そうではないのでどうしようもない)」という感じの解釈になるかと思います。

③「不愉快に感じていた」が△です。二十五行目の「世にあるものとも聞かれ奉りぬるをこそは憂き事に思いつつ」が該当箇所かと思います。ここは、女君が「この世(ここ=この山里)にいるものということを(男君に)聞かれ申し上げてしまったことが残念なことだと思いながら」という感じで、女君が男君に居処を知られてしまったことを後悔している描写かと思います。

④全体的に?です。これ、③と同じく「世にあるものとも聞かれ奉りぬるをこそは憂き事に思いつつ」を該当箇所として引っ掛けようとしてるんですかね? イマイチ該当箇所がわからず、内容として含まれてないかと思いました。

⑤正答です。「のがれがたく見あらはされ奉りぬると、せむかたなくて((男君の目を)逃れられないほどしっかりと見つけられ申し上げてしまいましたと、どうしようもなくて)」が該当します。

⑥全体的に△です。該当箇所は課題文末尾の「我にもあらぬ様、いとあはれなり」かと思いますが、「せむかたなくて、涙のみ流れ出でつつ、」に続きますので、ここは男君の様子ではなく女君の描写かと思いました。

問5 正答③・⑤

こちらも難しかったです。問四までで、選択肢を絞っていくことも通して、一通り課題文の流れを押さえているとして、その文脈にも照らして不適な内容がないかも考えていく必要があります。

選択肢の吟味

①「夜の山道を行くことをためらっていた男君の心の迷いが払拭されたことが象徴的に表現されている」が△です。該当箇所の後、三行目後半に「いとど思し残すことあらじかし」とあり、「いとど」は「より一層」ですので「一層思い残すことはないだろうよ」となり、「月なごりなうすみのぼりて」は「(既に女君の元へ行く先を急いでいた心が)一層見通し良くなった」ことのきっかけ・象徴かと思います。

②「女君は月を見て男君の面影を重ねながら長々と物思いにふけっており」が△です。十六行目「月の顔をつくづくとながめたるかたはらめ、昔ながらの面影ふと思し出られて」は、男君の視点で「月の姿をじっと眺めている(女君の)横顔からは、(出家する)以前の様子がふと思い出されなさって」であり、「昔ながらの面影ふと思し出られて」は女君の視点ではありません。

③正答です。「月は残りなくさし入りたる」以降は、「鈍色、香染」といった出家者の衣服や「額髪のゆらゆらと削ぎかけられたるまみのわたり」など、出家者として女君が描かれています。

④「月だけが女君のつらい過去を忘れさせてくれる存在であった」が△です。「里わかぬ雲居の月」が含まれる和歌の解釈は「場所を分け隔てなく照らす雲間の月の姿だけであることよ。かつて眺めた世界(俗世)の秋に変わらないでいるのは」というようになり、月は「過去を忘れさせてくれる」ものではなく「過去と変わらないもの(逆にいっそ、過去とつながるもの)」と言えるかと思います。

⑤正答です。④の解説とも関わりますが、月の光は「過去から変わらないもの」であり、女君は「変わらないのは月の姿だけであることよ」と詠んでいますので、「月の姿以外(自分の境遇)は変わってしまったなぁ」ということでもあります。

⑥「女君の苦悩を理解しない男君の、独りよがりな心が露呈している」が△です。二十二行目の男君の和歌の解釈は「故郷の月は悲しみの涙でかき消えて歪み、かつて(女君がいた頃)そのままの姿を見ることはなかった」となります。普通に悲しんでて、あんまり独りよがりとも言えないかな〜と。

読解後のつれづれ

主語の省略や情景描写などが豊かで、かなり古文らしい古文だったのではないかと思います。十二行目以降、女君の姿が見えていない間は、お香の香りとお経の音で女君の存在を浮かび上がらせたかと思いきや、十七行目からは月光ですっかり照らされた女君の姿をはっきりと描いており、とてもメリハリのある描写だなぁと感じておりました。澄んだ月光って、なんか日光よりも細部がよく見える印象すらもたらしますよね。これも古文ならではの感覚なのかしら、、、と思いを広げたところで、今回もお疲れ様でした!

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