解説
選択肢の吟味において、「×・△・?」を選択肢の該当箇所に付けていきます。×は「これはちゃうやろ」、△は「ちゃうかもしれん」、?は「びっみょ〜」って感じです。
問1
(ア) 正答②
「乃」は「すなわち」であり、「晩」は選択肢から推測して「歳をとる」「晩年になる」といった意味合いかと思います。直訳すると「歳をとるにつれて良くなる」という感じかと。これに最も近いのは②です。①「年齢を重ねたので」も近いとは思いますが、「ので」という因果(理由)のような意味は「乃ち」に対しては大きすぎる印象です。
(イ) 正答④
訓読すると「豈に以て少なくすべからんや」でしょうか。「豈に」は疑問〜反語〜詠嘆をマークします。少し前から一連の文脈になっているので厄介ですが、概ね以下のような内容です。「王羲之の書の良さは天性のものではなく努力によるものであるが、まだ彼に及ぶことができる者は現れていない。それなのに、学ぶことは当然として、どうして(努力を)少なくして良いだろうか(いやそんなことはない)」。おそらく反語として読んだ方がいい箇所かと思いますが、選択肢は特段そこを明確にはしていませんね。余談ですが、「可以」は現代中国語でも「〜できる」を表します。訓読では「以て〜すべし」と分かれていますが、「豈に可以(できる)少なくするや」みたいな感じで私は頭の中で読みました。
問2 正答③
そんなに難しくありません。「王羲之の書の素晴らしさは努力によるもので、天性のものではない」という内容に、「然れども」で続くので、「未だ〜ず」を入れれば「しかし、後世に(王羲之に)及ぶことができる者は未だいない」となります。「王羲之も才能ではないのだから、追いつける人がいてもいいはずなのに、まだおらん」ということですね。
選択肢の吟味
再読文字は覚えておきましょう!
①宜「よろしく〜すべし」:〜するのが良い
②将「まさに〜んとす」:〜しようとする
③未「いまだ〜ず」:まだ〜ない
④当「まさに〜すべし」:当然〜すべきだ
⑤猶「なほ〜ごとし」:ちょうど〜のようだ
問3 正答①・④
なんとなくわかるようなわからんような文法の問題でした。①〜③と、④〜⑥で一つずつ選ぶというのはさすがにそうだと思います。というか一文が短めなので、あんまり解釈を詰め込めないはずで、あまり大きな意味を持たない選択肢が正解だったという絞り方もあった気がします。
①の比較「〜には及ばない」は、「不如彼」の箇所です。「彼の如くならず」とかでしょうか。直訳すると「彼のようではない」となりますが、「彼には並ばない」から、比較といってもまぁいいんじゃないかなと思います。②の受身や③の限定は、該当する語がありません。受身なら「被」や「見」、限定なら「耳」や「已」といった漢字が含まれていて欲しいですね。
④の疑問を含んだ推量「〜ではないだろうか」は、「豈〜邪」が該当します。「豈」は問1でも出てきましたが、疑問〜反語〜詠嘆です。「邪」は「や」とか「か」とかで、これも疑問や反語の文末になります。仮定(「若」「縦」)や使役(「使」「令」)をマークする字はありません。また上述の通り、「〜なら〜ないなあ」みたいに「〜」が二つ入るような内容が傍線部A中に十分にない気がしており、その点でも「〜」が一つだけの④が正答だったりもするのかもしれません。
選択肢の吟味
上で全選択肢を一通り解説したので割愛です。
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問4 正答④
句形さえちゃんと覚えていればすぐ解けます。「況んや〜をや」なので、「まして〜ならなおさらだ」です。みんな大好き抑揚形ですね! 波線部イから続く箇所なので、「どうして努力を少なくすることができようか(いやできない)。まして深く道徳に至ろうとする者ならなおさらだ」となります。
選択肢の吟味
①・③・⑤は抑揚形の句法を取れておらず、②は「道徳を体得できない」と謎に打ち消しになっているのでダメです。
問5 正答②
「墨池」が何のことなのかがイマイチわかっていなかったので、ちょっと難しかったです。問7にありますが、「池が墨で真っ黒になるまで王羲之が稽古を重ねた地」ってことですね(今やったら環境破壊甚だしい)。その墨池のほとりに今は学校があり、王盛はその教授という感じです。王盛は、「その場所が明らかにならないことを恐れたのか、晋王右軍墨池という六文字を柱に掲げた」とあるほか、「以て其の学ぶ者を勉まさんと欲する」ともありますので、②が正答です。
選択肢の吟味
①「より多くの人材を育ててゆこうとする」が△です。選択肢として該当しそうなのは「一能と雖も以て廃せずして」ですが、「より多くの人材を育てていこう」は該当箇所がありません。
②正答です。王盛に関する記述はやや広いので、前半は傍線部より前、後半は傍線部より後となっていますが、合っています。
③全体的に?です。該当箇所もよくわかりません。
④「王羲之の天賦の才能」が×です。王羲之は才能タイプではなく努力タイプだとされています。
⑤「その歴史を曾鞏に書いてもらおうとすること」が△です。それはそうなのですが、傍線部は「王君の心を推すに(王盛の心を推測すると)」なので、曾鞏が王盛の心中を推測している内容を取り出すのが適切です。「願はくは記有らんことを」は、普通に曾鞏が言われたことなので、推測しているところではありません。
問6 正答③
う〜ん、合ってたんですが説明が難しい設問ですね……。句形などを示す漢字を手がかりにして、訓読として無理がないものを選んでいく感じになります。
「有一能而」の「而」は、訓読の際は置き字として読まれませんが、順接・逆接両方を表す接続詞です。読まれないからといって意味がないわけではないというか、中国語としては当然読まれる字です。訓読する際には「〜て」か「〜ども」という送り仮名になるので、「而」自体は置き字として読まれないという扱いを受けているわけです。ということで、「一能有りて」か「一能有れども」というまとまりを成して、ここで文の前後はやや切れ目があります。
「使」は恐らく使役だろうな〜とわかりますので、「○○をして〜しむ(○○に〜させる)」というまとまりを組み直せます。「後人をして之を尚ばしむる(後の人に、これを敬わせる)」です。
まぁこの二点を組み直せれば、③に定まるのではないかなと思います。このような白文から書き下し文を組み直す設問は、手掛かりとなる句法を覚えていることと、正直言って「漢文の書き下しとして無理がないこと」みたいな感覚を身につけることの両方が大切です。後者は漢文に多く当たるしかないので、そこまで漢文に賭けられない(賭けなくてよい)人は、まぁ〜当たればラッキーくらいでも仕方ないかなとも思います。
選択肢の吟味
解説にて代えさせていただきます。
問7 正答①
適切でないものを選ぶので、割と辿り着きやすい設問でした。資料として引用されているのは「王羲之が張芝について述べた」文ですので、「云はく、」以下は王羲之の言葉と捉えます。最後に「人をして之に耽ること是の若くならしめば、未だ必ずしも之に遅れずなり」と言っており、訳出すると「人に、書の鍛錬に没頭することをこのように(張芝のように)させれば、まだ必ずしも張芝に遅れることはない」となるので、「がんばったら張芝に劣ることはない」となります。よって①の「張芝には到底肩をならべることができないと考えていた」が×です。
選択肢の吟味
①以外は合っているので割愛です!
読解後のつれづれ
傍線部が前半に集中していたり、「墨池」がどのようなものかが課題文からはよくわからなかったりしましたので、やや取り組みづらかったかもしれません。わかんなかったら読み進める・解き進める中でわかるもんだと思って、考え続けるのをやめない方が結果的に点数が取れることになるかと思います。
にしても、池が真っ黒になるまで鍛錬するってえらいことですね。今の環境活動家()みたいなので、現代においてはやめといた方がいいと思います。謎の感想を述べたところで、今回もお疲れ様でした!



