このページは、2024年度大学入試共通テスト本試験 国語 大問3(古文)の解説です。
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解説
選択肢の吟味において、「×・△・?」を選択肢の該当箇所に付けていきます。×は「これはちゃうやろ」、△は「ちゃうかもしれん」、?は「びっみょ〜」って感じです。
問1
(ア) 正答③
「あからさまに〜打消」で「ほんの少しも〜ない」といった意味合いになります。直前の「ものから」は逆接の接続助詞ですので、「桂の院を別にお造りになられたのに、少しもお渡りにならない」といった感じですね。
(イ) 正答②
「とみ」は「疾し」と関わり、「急ぎの」といった感じです。パッと思いついてすぐのことだったので、という意味です。
(ウ) 正答⑤
「かたち」は「容貌」で、それが「をかしげなる」ので、まぁ〜⑤でしょう。これは合わせたい問題です。
問2 正答②
文法の問題なので、各選択肢について適不適を述べていきます。
選択肢の吟味
①「『し』は強意の副助詞」が×です。「たり」と、連用形(もしくは終止形かもしれませんが)に接続しているので、過去の助動詞「き」の連体形です。「うち興じたりしも」で「少し興じたことも」という意味になります。
②正答です。「引き返すようなことも(引き返すようなことならば)」といった意味合いで、「む」には仮定・婉曲をカバーする用法があります。
③「人々の顔色が寒さで変化してしまったことを表している」が×です(文法の説明は合っています)。「面変はり」したのは「何がしの山、くれがしの河原」であり、日が暮れるに伴って周りの景色が様変わりした様子を表しています。
④「『興ぜさせ給ふ』の『させ』は使役の助動詞」が×です。「せ給ふ・させ給ふ」の場合、「す・さす」はほぼ尊敬です。時々例外もありますが。。。って書いてたら、六行目の「急がせ給ふ(急がせなさる)」とかはまさにそうですね。
⑤「作者から大夫に対する敬意」が×です。「見給ふ」の主体は主人公なので、作者から主人公への敬意です。
問3 正答④
合ってましたが結構解釈が難しい設問じゃなかったかな〜と思います。私自身、和歌を直接解釈せよと言われればかなり難しいと思います。
とりあえず、二行目にあるように、主人公が出歩く際は源少将を含め、いろんな若い人を連れて行くのが普通なのですが、今回は連れて行かなかったという点は押さえておきましょう。そこに、置いてけぼりを食らった源少将からの手紙が届き、Xの和歌でなんか言ってるのに対して、主人公がYの和歌でなんか返した……というくらいで、選択肢で絞っていくのが妥当かと思います。
選択肢の吟味
①「源少将は主人公の誘いを断ったことを気に病み」が△です。黙って出て行ったのは主人公なので、気に病まなくて大丈夫ですし多分気に病んでません。
②「主人公への恋情を訴えた」が△です。いきなりすぎますし、さすがにそういう和歌じゃないと思うんですわな……。
③「源少将が待つ桂の院に返事を届けさせた」が△です。源少将は置いて行かれており、「主人公を追い越して桂の院に行った」といった記述もないため、おそらく置いて行かれて都にいます。
④正答です。「ゆき」に「雪」と「行き」を掛けているのは恐らくそうでしょう。和歌Yとしては「(跡を辿って追いかけて)尋ねてくるかなと、雪の上に私が行く跡を付けながら来ましたが、私があなた(=源少将)のことを待っているとは、あなたは知らないでいたのでしょうか」というような解釈になるかと思います。自分で置いて行っておきながらイジワルな主人公ですね! それも踏まえてやや蛇足ですが、③の選択肢で「待つ」と「松の枝」が掛かっているとしているのは正しいです。
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問4(i) 正答②
解説文を読むことによって、本文理解がかなり進みます。この設問は比較的易しいので合わせたいですね。
桂の院に近づくところで主人公が詠んだのが十二行目の和歌ですが、この下の句が「雪の光もよに似ざりけり」ですので、「雪の光がこの世のものと似て非なるほどだ(=美しい)なぁ」となり、②です。まだ桂の院には着いていないけれど、ここの時点でもう「月の中なる里」なのだなぁと感じているところですね。
選択肢の吟味
②以外は下の句の内容を適切に説明できていません。
問4(ii) 正答②
二十〜二十二行目の内容ですので、その本文と齟齬のある内容を含む選択肢を外していきましょう。詳しくは次項。
選択肢の吟味
①「空を覆っていた雲にわずかな隙間が生じ」が×です。二十行目に「いつしかなごりなく晴れ渡りて」とあり、雲や霧がすっかり晴れたことがわかります。
②正答です。全体的にOKって感じですね。
③「雪が、その月の光を打ち消して明るく輝いている」が△です。二十一行目に「天地のかぎり、白銀うちのべたらむがごとくきらめきわたりて」とあり、空も地面(の雪)も、一面に白銀を打ち伸ばしたかのように光り輝いている、となるため、「月の光を打ち消して」は不適です。
④「空にちりばめられた銀河の星が、見渡す限りまぶしく輝いている」が△です。「銀河の星」とすると、③の解説で引用した「天地のかぎり」の「地(=地面の雪)」の方が排除されてしまいます。
問4(iii) 正答③
こちらも、二十三行目〜二十六行目の記述と齟齬がないかを検証していきましょう。
選択肢の吟味
①「『足手の色』を気にして仕事が手につかない院の預かり」が△です。「足手の色を海老になして」とあるので、手足をかじかませて赤くしながら、主人公の車が進む道を整えようとしています。
②「院の預かりの体調を気遣う」が?です。「ここもなほ見過ぐしがたうて」は、「ここの景色もやはり見過ごせない」という意味であり、院の預かりを見過ごせないわけではありません。記述によれば、院の預かりは置いてけぼりになっているのではなく、車の行く道を整えていますので先行して進んでいるはずです。
③正答です。②の解説で述べた通り、「ここもなほ見過ぐしがたうて」は主人公の風雅心を象徴する心中です。「桂風を引き歩く(風邪を引いてしまいそうな風を切って歩く)」とされるほど寒いので、同行している人々はそわそわと震えています。そんな人々が「はよ行きましょうよ、ここの景色も良いんですけど」と言うのに対して、主人公は「それもそうだな」と思いつつ、ここの景色も見逃し難い……と思っている感じですね。
④「都に帰りたくて落ち着かない人々」が△です。「とく引き入れてむ」は「早く屋敷に入ってしまいましょう」であり、都に帰るのではなく桂の院に入ってしまいたいという心情です。
読解後のつれづれ
解説文も併せて読むことで、二十行目以降の情景描写がかなり美しく読めました。また、「足手の色を海老になして」とかは比喩のパワーがすごく、様子がありありと浮かぶようです。笑
和歌の解釈もそうですが、共通テストになって以降、複数の情報ソースを並べて読解し、それらの理解を組み合わせて解いていくといったスタイルをさも当然かのようにしないといけなくなってきました。普通にこれ大変ですが、この傾向が無くなることはないかと思いますので、訓練は重ねていきましょうね。。。お疲れ様でした!




