解説
選択肢の吟味において、「×・△・?」を選択肢の該当箇所に付けていきます。×は「これはちゃうやろ」、△は「ちゃうかもしれん」、?は「びっみょ〜」って感じです。
問1 正答②
【資料Ⅰ】と【資料Ⅱ】に含まれている各表のタイトルとデータの内容から、各選択肢の説明と照らし合わせて、述べられている内容にそぐわないものを外していきましょう。この形式の設問は選択肢同士を先に横に比較して、例えば(ア)と(イ)ではどのような違いがあるかを理解してから、どちらが資料の内容に適しているか・いないかを判断した方が混乱しないで済みそうです。
選択肢の吟味
(ア)と(イ)を比較すると、(イ)は「最もよく読むと回答した」という限定が付いていますが、(ア)は特に限定されていないという違いがあります。翻って【資料Ⅰ】の表2では、米印の注意書きにおいて、「複数回答が可とされた」とありますので、表1の質問で「電子書籍を読んだことがある」と答えた人が、複数回答有りで「何を読んだか」を答えた結果が表2ということになります。よって、「最もよく読むと回答した」としている(イ)が誤りとなり、この時点で③・④は不適です。
続いて(ウ)と(エ)を比べていきます。日本語の順番がズラされているのでやや厄介ですが、これらの選択肢の違いとしては、(ウ)が「紙とデジタル機器をどのように使い分けているか(の割合)」、(エ)は「紙とデジタル機器のどちらをより多く利用するか(の生徒の割合)」となっている点です。翻って【資料Ⅱ】の表3のタイトルは「本を読む媒体としてどちらをよく用いるかの割合」ですので、「使い分け」の内実を示しているというよりは、まさに「どちらをよく用いるか」です。よって(エ)の方が適切であり、正答は(ア)→(エ)の②となります。
問2(i) 正答①
ちょっとややこしいですが、落ち着いて取り組みましょう。
まず、デジタルの資料がどの範囲か、という点です。「館内のみ閲覧可能な資料も112万点ある」とされているのが、デジタルの資料の話をしているのか、それ以外も含めるのかがあんまり明瞭じゃないので厄介。しかし、この箇所の次々段落において、「書籍、雑誌、新聞、博士論文、音源など4685万点超にも及ぶ所蔵資料のデジタル化」という記述があり、非デジタル資料ははちゃめちゃに多いことがわかります。よって「館内のみ閲覧可能な資料も112万点」はデジタルの資料であるとわかります。デジタルの資料なのに館内でしか閲覧できひんのかーい!と、Z世代の直感に反する事実なのですが、そうらしいです。よって②と④は不適です。
そのうえで、「インターネットでの情報提供」について、「制限なしに誰でも読める60万点のほか、利用者登録をすれば絶版などで入手困難な資料184万点が閲覧できる」とありますので、184万点の資料はインターネットで閲覧可能です。よって③も不適、①が正答となります。
選択肢の吟味
以上の解説に代えさせていただきます!
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問2(ii) 正答④
なんか重箱の隅を突くような設問でちょっとヤですが、本文記載と選択肢を丁寧に照らし合わせて外していくよりほかない設問です。注意力テストみたいな設問になってしまっているので、間違えてもちょっと仕方ないかな〜とも思います。
選択肢の吟味
①「バリアフリーのサービスとして所蔵資料のデジタル化も始まった」が△です。所蔵資料のデジタル化は2000年前後から進んできて、コロナ禍で加速したものであり、バリアフリーのサービスとして始まったものとは読み取れません。バリアフリーのサービスとして始まったのは「約247万点の全文テキストをダウンロードできる」サービスです(もちろんこれもデジタル化によってできるようになったサービスではあると思いますが)。
②「バリアフリーのサービスも始まろうとしている」が×です。【資料Ⅲ】には「バリアフリーのサービスも始まっている」とありますので、既に始まっているサービスです。この「テイル」は完了の「タリ・リ」に近いやつですね。もう始まった後の状態だよ〜って意味で「完了」です。
③「二〇〇〇年前後からインターネットでの資料提供に力を入れている」が△です。二〇〇〇年前後から進んできたのは「デジタル化」であり、必ずしもデジタル化はすなわちインターネットでの情報提供ではありません。インターネットでの情報提供に力を入れている時期については必ずしも明瞭ではありませんが、恐らく「21年から5年間のビジョン『デジタルシフト』」の中で言及されていることかと読めますので、恐らく21年以降の話です。また、「バリアフリーのサービスとして二〇世紀中の一〇〇万冊の書籍のデジタル化も始まった」も△です。①と同様になりますが、バリアフリーのサービスとして始まったのは「約247万点の全文テキストをダウンロードできる」サービスです。
④正答です。適切なことを細々と述べています。
問3 正答②・④
適切ではないものを選ぶ設問です! 資料から読み取れるデータの読み取りが誤っている場合と、読み取れるデータと主張の結びつけに無理がある場合とが想定されます。あまり解説できるものでもないので、誤っている選択肢がどのように誤っているかで考えていきましょう。
選択肢の吟味
①・③・⑤適切です。
②全体的に不適切です。【資料Ⅰ】から読み取れることは「電子書籍で本を読んだことがある人がどれくらいいるか、読んだことがある人は何を読んでいるか」なので、「図鑑を紙で読むか、電子書籍で読むか」ということはこのデータだけでは分かりません。【資料Ⅰ】中の本の種別に関わるデータは、「電子書籍を読んだことがある人」に限定されたデータだからです。「図鑑を紙で読むか電子書籍で読むか」を知るためには、「電子書籍を読んだことがない人」も含めてデータを取らなければいけません。この前提(選択肢の前半部分)が誤っているので、そこから出る結論に関しても要領を得ないものになってしまっています。
④「このことは両国のデジタル展開が先進的であることを意味しており」が△です。確かに、表4からはアメリカ・ドイツ両国の読解力の平均得点は総じて日本より高いことがわかりますし、表3においても両国は「本はデジタル機器で読むことが多い」という生徒の割合が(日本よりも)高いことが分かります。しかし、ここから必ずしも「両国のデジタル展開が先進的である」とは言えません。シンプルに国民性とか、そういう話かもしれませんし。また、「本をまったく、またはほとんど読まない」層においても、アメリカやドイツは日本よりも読解力の平均得点が高いので、このデータだけで「デジタル展開」と「読解力」を直接結びつけることも適切ではありません(デジタル展開とは別の原因がある可能性が高いため)。よって、「両国のデジタル展開から(相対的に読解力の平均得点が低い)日本が学ぶべき」という結論はこじつけになってしまいます。
読解後のつれづれ
実用文はどうしても「素早く正確な読みができているか」という意味合いでの情報処理に焦点が当たる大問になりますね。でもこの力もそれはそれで大事だな〜と私は思っています。
問2(i)の図解や、問3の結論の適不適などは、私もお仕事する中で批判的に捉えられていないといけないところだと思いながら解いていました。人はともすると自分にとって都合のいい図解や結論を(無意識的にかもしれませんが)生み出してしまうものです。また、他の人が行った図解や結論も、もしかすると誤りが含まっているかもしれません。皆さんがそういうのに騙くらかされて損しないように、実用文的な力を求めていくような国語もアップデートされているのではないかなと思います。


