大学入学共通テスト 国語2025追試[5(漢文)]解説

目次

解説

選択肢の吟味において、「×・△・?」を選択肢の該当箇所に付けていきます。×は「これはちゃうやろ」、△は「ちゃうかもしれん」、?は「びっみょ〜」って感じです。

問1

(ア) 正答①

割とそのまま「何の為に」もしくは「なんすれぞ〜する(何のために〜するのか)」かと思います。文脈としても、段干木の住む村の入り口の門に向かって、通りがかった文侯が車上から敬礼したことに対して、御者が「なぜ敬礼するのですか」と聞き、文侯が「段干木がいるからだ」と答えています。

(イ) 正答④

「是に於いて(これにおいて)」でしょうか。直前が傍線部になっているので、その設問もちゃんと解釈できていないとやや手掛かりが減ってしまいますか、「これを理由として」といった意味合いですので、④「そのようなわけで」が一番近いです。

問2 正答③

文脈と直訳をともに手掛かりとして考えていきましょう。まず、文侯は車上から段干木に敬礼しているわけで、それを不思議に思った御者の質問に答えているわけですから、「こういう理由で私は敬礼しているのだ」のような話であると推測できます。よって①「敬礼するわけにはいかない」④「敬礼したりする必要はない」は文脈上不適です。そのうえで直訳について。「寡人」は全ての選択肢で「わたくし」と訳されているのでそう理解します(「寡」は「少ない」→「取るに足らない」から、「寡人」で謙遜の自称)。それ以降は否定語と反語でややこしいのですが、「私は敢えて敬礼しないことがあろうか、いやそんなことはない(=必ず敬礼する)」となります。よって③の「敬礼しないではいられない」です。

選択肢の吟味

上述の解説に代えさせていただきます。

問3 正答④

割と難しくないのでぜひ正答したい設問です。傍線部Bのすぐ前で、文侯と段干木の比較が行われており、単純化すると「段干木は徳、私は勢。段干木は義、私は財。」という内容になっています。傍線部Bは「勢はXに及ばず、財はYの高きに及ばない」という内容ですので、文侯が持ち合わせているものが段干木の持ち合わせているものに及ばない、という理解をすれば、Xは「徳」、Yは「義」となり正答は④です。

選択肢の吟味

消去法の設問でもないので、割愛させていただきます。

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問4 正答②

傍線部C付近の記述だけだとややぼんやりとしていますが、文侯が段干木をどのように捉えていたかも併せて考える設問です。傍線部C直後で、司馬庾は「その(=段干木の)主君(=文侯)も彼に敬礼していたことは天下に知れ渡っており、知らない諸侯はいない」と述べています。そして文侯がどのように段干木を捉えていたかというと、傍線部Aの前の文で「段干木は派閥や組織競争に走らず、君子の道をその身に備えて、侘しい市井に身を隠し置きながらも、その名声は千里に知れ渡っている」という具合です。よって、段干木のこのような点を文侯は評価しており、その内容が司馬庾にも伝わっていたと捉えることができます。

選択肢の吟味

①「困窮した民を独力で救済している」が△です。段干木についてそのような記載はありません。

②正答です。文侯の評価内容と一致します。

③「諸侯に知られていないが」が×です。「諸侯聞かざるは莫し」なので、二重否定で「みんな知っている」です。

④「周辺諸地域との友好関係に尽力することで人々に敬愛されている」が△です。そのような内容は読み取れません。

⑤「古の君主の政治を理想とする見識の高さ」が△です。これも根拠薄弱です。

問5 正答①

こちらも否定を含む反語ですが、難易度が高いというわけではありません。直訳すると「挙兵して之(魏)を討伐すれば、すなわち道義を妨げることがないだろうか、いや必ずある。」となり、結局のところ「道義を必ず妨げるだろう」ということです。

やや余談ですが、「挙兵伐之」には仮定的な意味を表す語(「若し」や「苟も」)が付いていないのにも関わらず、選択肢でも「ならば」「としても」と仮定的に訳されていますよね。これがまぁ文脈上仮定として扱っている(訓読時に仮定を補っている)ケースです。でも、これは必ずしも仮定で訳さないといけないというわけではないとも言えます。「挙兵して魏を討伐することは、道義に反することになる」というように、普通に主述のように訳しても良いわけです。訓読は日本語に寄せるために行うものですので、訓読者によって解釈が異なる場合もありますよ。仮定も、明瞭に仮定である場合(一例として「若し」や「苟も」を使う場合)と、(今回のように)そうでもない場合もあるって感じです。

選択肢の吟味

①正答です。

②「必ずしも我が国が道義に背くことにはなるまい」が×です。否定を含む反語を逆に捉えてしまっています。

③「我が国はきっと道義を知る国々に阻まれるだろう」が△です。そのような内容は読み取れません。

④「我が国は道義を重んずる魏に負けるのではないか」が△です。ちょっとどこからそういう話になったのかわかりません。

⑤「魏が道義を貫くのを阻むことはできないだろう」が△です。ちょっとややこしくしている選択肢ですが、否定を含む反語を実直に訳せばこうはなりません。

問6 正答④

付け加えられている論評を直訳すると「魏の文侯は良く兵を用いていると言えるだろう」という内容であり、これは文侯が段干木に敬意を表すことによって(結果的に)その名声を世に広め、(結果的に)司馬庾が魏の討伐をやめたということを、「善く兵を用ゐる」としていると推測できます。文侯にその狙いがあったのかは定かではありませんが、結果的に文侯は兵(=段干木)を上手く使えていた、ということです。

選択肢の吟味

①「軍隊に動員された民衆は将軍の命令によく従い、その結果、魏は他国からの侵略から自国を防衛することができた」が△です。そのような内容は本文からは読み取れません。

②「魏の人々は周辺諸地域と盛んに交流するようになり、その結果、魏は他国に侵略を思いとどまらせることができた」が△です。こちらも本文に記述がありません。

③「軍事力の増強にもたゆまず努めて周辺諸国の脅威に備え、その結果、他国の侵略を抑止することができた」が△です。これもいまいちどこから取ってきてるのか不明です。

④正答です。解説の通りです。

⑤「魏には知謀に長けた人物が多く集まることになり、その結果、他国の侵略から自国を防衛することができた」が△です。結局正答以外は根拠薄弱という解説しかできませんでした。

読解後のつれづれ

追試にしてはスタンダードで解きやすい大問だったかと思います。五大問構成になって初めての追試なので、空気読んで作ったんですかね……。比較的点も取りやすいと思いますので、前から順番に解いて最後に時間が足りない!とかになるともったいない大問のようにも思えますね。

否定を含む反語が設問にされやすいということも学びになります。結局設問を作るのは作問者であり、課題文の筆者ではありませんから、作問者が設問にしたくなるようなポイント(つまりそれは重要な句法や文法備考が含まれている箇所であることが多い)をしっかり読み取れるというのは大切ですね。それによって本文全体の理解も広がるものと思います。

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