【2024年】共テ漢文「白文の書き下し文を選ぶ」設問のコツ3選

こんにちは! 本記事を読まれている方は、共通テスト漢文で、傍線部が白文になっていて、それの適切な書き下し文と解釈などを選ぶ設問にお困りなのではないでしょうか。だからこんなタイトルの記事を開いたはずなので……。

今回は、それなりに共通テストの解説を書いてきた私が、毎年出題されるこの形式の設問を何とか攻略できないものかと考えつつ、解き方のコツを解説するものです。
なお、本サイトには共通テストの解説が現時点で本試7年分、追試3年分ありますので、必要があればほかの解説もご覧ください!

目次

どんな設問?

2024年度共通テスト本試で言えば、大問4の問3にあたります(以下引用)。

傍線部「窮人力絶人命、有所不顧。」について、返り点の付け方と書き下し文の組合せとして最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。

通常の共通テストの漢文本文は訓点と送り仮名がついていますが、この形式の設問の傍線部は白文になっているかと思います。こういう設問は、センター試験が共通テストになって以降もほぼ毎年出題され、白文から訓読点を復元するというプロセスが必要になります。

そんなんどうせえという話ですよね。でも、過去の出題例を遡って見てみると、ちょっとずつコツみたいなものが見えてくるはずです。いざ、見ていきましょう。

出題例から見る、目の付け所

前提として、この手の設問を解く際には、絶対に選択肢を先に通覧しないことが大切です。選択肢を一通り見てしまうと、どれもこれも正しいように感じてしまい、絞ることが難しくなってしまいます。

共通テストは基本的に消去法で解こうということがよく言われますが、この形式の設問を解く場合はこの限りではありません。選択肢を見る前に、まず傍線が引かれている白文と向き合い、文構造や使われていそうな句法から、概ねこんな感じの文なのではないか?という当たりを付けてから、それに近い選択肢を探していきましょう。

まあ~前提はこれくらいにして。ここからは2024年~2022年の3年分の当該設問を見ていくことで、この形式の設問を解く際のコツを三つにまとめたいと思います。

①語のまとまりを推測しよう

【2024年度:大問4/問3】
傍線部「窮人力絶人命、有所不顧。」について、返り点の付け方と書き下し文の組合せとして最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。

冒頭でも触れた、最新の出題例です。今回の対象箇所は「窮人力絶人命、有所不顧。」です。もちろん、前後の文脈がないと解けないものではありますが、この部分だけでも少し選択肢を絞ることができます。

「人力」「人命」という、現代語でも使うことができる熟語が入っているのではないか?と推測できます。よって、「窮」と「絶」は、「人力」「人命」のそれぞれに掛かる動詞みたいなものではないか?と考えます。

また、「不」という打消の語が入っていますが、「不」は常にそのすぐ次(下)の語を否定しますので、今回は「不顧」で「顧みず(=顧みない)」というまとまりができているのではないか?という点も考えられます。ここまで考えてから、選択肢を読んでみましょう。

(設問では訓読点が付された漢文も含まれていますが、本記事では書き下し文のみとさせていただきます)
①人力の人命を絶たんとするを窮めて、所として顧みざる有りと。
②人の力めて絶人の命を窮むるは、有れども顧みざる所なりと。
③窮人の力は絶人の命にして、有る所顧みざるのみと。
④人力を窮め人命を絶つも、顧みざる所有りと。
⑤人を窮めて力めしめ人を絶ちて命じ、所有るも顧みずと。

「人力」「人命」といったまとまりで読んでいるのは、①と④です。さらに、「窮」「絶」といった動詞らしきものと適切にまとまりを作っていそうなのは④となります(実際、正答は④です)。このような推測をしないで選択肢を読むと、こういうのがハチャメチャになっているのに正しい感じにごちゃごちゃさせた書き下し文を読むことになり、大いに惑わされてしまいます。

コツ① 現代語の語彙も手掛かりに、語のまとまりを推測しよう!

もちろん、これだけでは解けません。以降②③のコツや、前後の文脈も合わせて考え、総合的に適切そうなものを選んでいきます。

②重要な句法を手掛かりにしよう

【2023年度:大問4/問3】
傍線部B「豈不以貴賤相懸、朝野相隔、堂遠於千里、門深於九重」の返り点の付け方と書き下し文の組合せとして最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。

えらい長い傍線部ですね。しかし注目すべきは二点です。

一つは「豈不〜(あに〜ならずや)」という詠嘆の句法が入っていること、もう一つは(漢詩ではありませんが)対句っぽいまとまりを見て取れることです。

「豈不〜」は、「亦不〜(また〜ずや)」と同様、「なんと〜ではないか」といった意味を表します。「また喜ばしがらずや(なんと嬉しいことではないか)」と一緒です。「豈」は詠嘆だけでなく、反語の意味で使われることも多いですが、その場合は「豈に〜ざらんや」と訓読されることが多いです。「『~んや』は詠嘆」ほとんど大丈夫なのですが、絶対!ではないのでふんわり区別しておきましょう。この句法を適切に理解できていれば①〜③は外せます。

次に、対句っぽいまとまりを見ていきましょう。今回は傍線部の箇所もとても長めですが、ここに気付ければ恐れることはありません。「貴賤相懸、朝野相隔」は「相」をキーとして対になっている感じがしますし、「堂遠於千里、門深於九重」は「於」をキーとして対になっています(「名詞/形容詞//数詞/単位」という構造が共通してるってことです)。つまり、これらの対句っぽい部分はそれぞれまるっと扱えばそれで良いということです。そう考えると、④は「貴賤相懸、朝野相隔」を対として扱っているのに「堂遠於千里、門深於九重」を対として扱い切れていません(訓読において、「堂遠於千里」と「門深於九重」の間に「以て」を入れているためです)。よって残った⑤が正答となります。

今回は「豈不〜」と対句っぽい構造に着目しましたが、それ以外にも多くの重要な句法があります(授業で覚えや〜って言われる句法とかは大抵そうです)。
そういった句法は解答の手掛かりになります……というよりは、そういった句法が含まれている箇所に傍線部が引かれ、このタイプの設問が作られるのです。そもそも漢文の筆者と作問者は別ですし、作問者は本文を眺めて「問題になりそうな箇所はないかな〜」と考え、「お、ここに重要な句法あるやん! 問題になるかな〜」とやるわけです。だからこそ、設問を解くときに句法は役に立つことになります。

「コツって聞いたから簡単に解けるコツがあると思ったのに、結局句法覚えなあかんの~」って声が聞こえてきそうですが、残念ながらそうです。笑

コツ② 授業でやった句法はしっかり頭に入れて、白文の中の重要句法に気付けるようになろう

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③漢文(=古典中国語)の文法の順番を理解しよう

最後のポイントは、そもそもの漢文の文法構造(語句の順番)を理解しておこうね、という話です。そんな、白文のまま順番をわかるのなんて無理や〜って思う人もいると思いますが、そもそも漢文(というより古典中国語)は白文で、それを古代中国の人たちは書いて読んでいたわけです。てか、普通に今の中国語も漢字しかないでしょ? 捉えようによっては現代中国語も「白文」です。笑

で、現代中国語と古典中国語がどのように違うのかは私は専門ではないので分かりませんが、多少違いつつある程度同じという感じなのではないかと思います(一応大学の外国語で中国語は取ってましたが、ほとんど覚えておりません……)。つまり、基本は「主語→動詞→目的語」の順番です。もちろん副詞が入ったり、修飾句が係ったりと、そんな単純な話ではないのですが、概ねの骨格はこの順番です。逆に言えば、書き下し文において適切にこの順番を守れていない場合は誤りの選択肢になります。具体例で見ていきましょう!

【2022年度:大問4/問2】
傍線部A「客有呼之入匣奉帰余園者」について、返り点の付け方と書き下し文の組合せとして最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。

①客に之を呼び匣に奉じ入るること有りて余の園に帰る者あり
②客に之を呼び匣に入れ奉じて帰さんとする余の園の者有り
③客に之を匣に入れ呼び奉じて余の園に帰る者有り
④客に之を呼びて匣に入れ奉じて余の園に帰さんとする者有り
⑤客に之を呼ぶこと有りて匣に入れ余の園の者に帰すを奉ず

下記、英語ではないですが主語・動詞・目的語をSVOで表記します。漢文は基本的に英語と同じく「SVO」の言語です。

冒頭が「客有」なので「客が(S)有る(V)」んだな〜と思いました。しかし、選択肢は全て「客に〜」から始まっていたので、「客の中に(副詞)〜が(S)有る(V)」ということなんだなと思い直しました。続きは「(客有)呼之」なので、「(S)VO」の順として捉え、「呼ぶ(V)之を(O)」かな〜とあたりをつけます。「之」は文脈をとらないと仕方ないですが、先立って登場する「仙蝶」のことです。この後も続いて動詞が並びます。「入匣」は「入れる(V)(蝶を=O1)箱に(O2)」「奉」は「奉る(V)」「帰余園」は「帰す(V)(蝶を=O1)私の庭に(O2)」です。最後に「者」があるので、これらの動詞は「〜する者」という形で、「者」の修飾句だったんだなと分かります(英語は関係代名詞などで後ろからも修飾しますが、漢文は例えば日本語の「走って転ぶ人」と同様に「修飾句→被修飾語」の順番が多いです)。よって、全体としては倒置みたいな感覚で「客の中に有る、之(仙蝶)を呼んで箱に入れ、奉って私の庭に帰す者が」みたいな感じで取るとわかりやすいかもしれません。これに合うのは④です(選択肢では「帰さんとする」などになっていますね)。

コツ③ 「SVO」の語順や「修飾句→被修飾語」といった漢文の順番になんとなく慣れよう

コラム 書き下し文は一通りではないよ
この形式の設問は、あたかも書き下し文における「正答」が一つに定まるような前提のもとに成り立っていまして、それは概ね正しいのですが絶対ではありません。書き下し文は白文を「(かつての)日本人用に読み直したもの」であり、書き下す人によって多少の誤差は生まれます。「有朋自遠方来」は「朋遠方より来る有り」なのか「朋有り遠方より来る」なのかは、「自」を副詞と捉えて訓読するか、「朋」の修飾句と捉えて訓読するかによってかわります。孔子がどちらに近い感覚で言ったのかは不明です。笑
ただ、だからといってこの形式の設問が成り立たないというわけではありません。複数の漢文訓読者(≒作問者)が妥当であると判断すれば、それは概ね妥当なものとして「正答」の肩書きを得ます。我々はそれを基準として、それと同じ読みをしていくことで、他者と漢文における共通認識をつくることができ、それが一旦の国語教育の価値ではあります(漢文における共通認識なんて要らんわい!という声も聞こえてきそうですが……笑)。

まとめ

さてさて、ここまでお疲れ様でした! ここまでの三つのコツを通して、私がこの形式の設問を解く際に考えることを言語化してきました。全ての当該形式の設問が解けるとは言い切れないかもしれませんが、これらの組み合わせでかなり多くの場合に対応できるのではないかと思います。

コツ① 現代語の語彙も手掛かりに、語のまとまりを推測しよう!
コツ② 授業でやった句法はしっかり頭に入れて、白文の中の重要句法に気付けるようになろう
コツ③ 「SVO」の語順や「修飾句→被修飾語」といった漢文の順番になんとなく慣れよう

今回は三つのポイントに細分化してみましたが、結局のところ言いたいことは「漢文を書き下す感覚を(完璧じゃなくてもいいので、ふんわり)身に付けよう」ということになります。そうやって「大体こんな書き下しなんじゃないかな〜」がわかれば、それを基準に選択肢をかなり絞ることができ、正答の確率を上げられます。

ただ、この形式の設問は結局ほぼ一年に一問です(七点とか)。この設問を絶対取るんだ!というわけではなく、漢文の読解力の一要素として、副次的に力を付けていけると良いのではないかと思います!

今回の解説が皆さんの助けになれば幸いです。本サイトでは今回取り上げた設問以外も、基本的に全ての設問の解説を自由にご覧になっていただけますので、よければご活用ください! ではでは。

今回扱った設問が含まれる大問の解説

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