解説
選択肢の吟味において、「×・△・?」を選択肢の該当箇所に付けていきます。×は「これはちゃうやろ」、△は「ちゃうかもしれん」、?は「びっみょ〜」って感じです。
問1
(ア)正答③
「お手のもの」は、その物事に関して習熟していて容易な様という感じかと思います。妹が「お手のもの」であるもの(畑仕事)が傍線部の前に配置されていないため、正答の「得意としていて」を、そのまま傍線部に入れるとやや不自然な文章になってしまいますが、辞書的な意味として最も近い(余計な意味が含まれていない)ため、さすがにこれ以外を選ぶことはできません。
(イ)正答①
「腹(肚)を決める」は、「覚悟を決める」「意思を定める」といったような意味となります。O君から、是政には月見草が川原いっぱいに咲いていると聞かされ、「私」は山も見られるし月見草も引いて来られるしで、あつらえ向きの行き先だと感じ、「是政に行く」という気持ちを固めたと読み取れます。①の「覚悟を示した」はやや近いですが、「示す」は表出なので、お腹の中で心を決める意味合いに近い「腹を決める」からは外れます。
(ウ)正答②
「目を見張る」はまぁ〜普通に目を大きく開くことです。今回は、一面に咲く月見草の様子を見て「私」が「目を見張っていた」わけですから、おそらくその光景(「私」がもともと思いを持っていた月見草が一面に咲いている光景)に心を動かされて見入っていたのだと推測できます。②以外の選択肢は、余計な意味が含まれている(①③④)か、「目を見張る」にしては弱い意味(⑤)です。
問2 正答③
野菜を育てる妹の手際の良さを見、「小さな菜園だが、作り始めると、妹は急に生き生きとしてきた」とあるように、「私」にとっての草花の世話と同じように、妹にとって菜園作りは心を慰めてくれるものであるように読み取れます。また、「自分だけ好いところを占領するのは気が引けたので」と傍線部内に含まれていますので、「私」が妹に対して気を遣っていることもわかります。この点を捉えつつ、余計なことを言っていない選択肢が正答となります。
選択肢の吟味
①「これからは一緒にたくさんの野菜を育てることで落ち込んでいた自分を励まそうとしている」が△です。選択肢は非常に人格的なを言っていますが、「私」が「妹を励まそうとしている」というほどに積極的な思いを持っていたとは読み取れません。また、六行目から「作るなら作って見よ」と言っており、「一緒に野菜を育てる」というつもりがあるとも思えません。
②「妹との関わりは失った月見草に代わる新しい慰めになるのでないかと思い始めている」が△です。「私」は妹が菜園を通じて慰められているな、と感じてはいますが「妹との関係が(『私』にとって)慰めになる」という旨は読み取れません。
③正答です。シンプルに気遣いって感じですね。
④「自分が庭を独り占めしていることを妹から指摘されたような気持ちになり」が△です。妹とのやり取りの中からは、特段そのような気持ちは読み取れません。
⑤「妹の姿に将来の希望を見出したような思いになり」が△です。希望を見出したとは言えませんし、この「将来の希望」が妹にとっての将来の希望なのか、「私」にとっての将来の希望なのかも判然としません。よくわからん。
問3 正答⑤
傍線部中の「それ」は、O君が「月見草の大きな株を手いっぱいに持って、あがって来た」様子のことを指しています。
「私」にとっては、もともと月見草を引いてくることが是政の訪問目的でした。一方で、O君は鮠を釣りに行くことが目的だったので、「私」からすると、道中は共にするにせよ、目的は異なる行程だったはずです。しかし、O君は道中も月見草のことを話題にしてくれたり、帰り際にも「月見草を引いててくれない?」と言ってくれたりと、「私」と月見草に気を配ってくれています(O君、良い人ですね!)。そんなO君が、「私」にとっては思いがけず、月見草を引いてくるという「私」の目的に便乗してくれ、「私」はそれを「よろこばしい」と捉えています。なんかおそらく、友達が自分の趣味に共感してくれて一緒に楽しんでくれた時の気持ちって感じでしょうね。
選択肢の吟味
①「自分の憂いが解消してしまうような爽快なものだった」が△です。ちょっと言い過ぎな気がします。「私」は顔がほころぶような気分ではいると思いますが、「憂いが解消する爽快な気分」とまでは言えません。
②「月見草を傷つけまいと少ししか月見草を取らなかった自分」が△です。六十行目以降を読んでいても、そのような「私」の心情は記述されていません。
③「その行動の大胆さは自分を鼓舞するような痛快なものだった」が?です。傍線部の「私」の「よろこばしさ」において、「短い時間で手際よくたくさんの月見草を手にして戻ってきた」ことに焦点があるとは思えません。
④「いかにも月見草に興味がない人の行為のようなほほえましいものだった」が△です。そんなほほえましさあるかい。O君はそれなりに月見草に理解を示しており、「私」はどちらかと言うとその点によろこばしさを感じています。
⑤正答です。この設問の選択肢全体を通して、O君が本当にどういう気持ちかはわかりませんが、こちらの選択肢は「私」にとってのO君の行動がよろこばしいものだったという点を適切に説明できていると思います。
問4 正答②
やや選択肢が長めで厄介です。一般的なストーリーでは「ありそう」な選択肢であっても、本文中の「私」が本当にそのような心情を抱いている(と読み取れる記述がある)かに忠実に進んでいく必要があります。
傍線部前後の心情についてなので、前後をちゃんと読み直しましょう。サナトリウムは始め、どの部屋にも明かりがついていなかったので、「人の棲まぬ家かと思われ」ていましたが、そのうちポツリポツリと明かりがついて、「建物が生きてきた」と述べています。それをきっかけに「私」は妻のことを思い出し、「寂しさがこみあげて来」、サナトリウムの周辺を歩いて「妻よ、安らかなれ」と心の中で言います。
正直、きっかけ(サナトリウムに明かりがつく風景)と「私」の心の動き(妻のことを思い出す、寂しさがこみあげてくる)の間に詳細な心情的プロセスを読み取ることは難しいかと思います。その後の行動(サナトリウム周辺を歩き、妻の平穏を祈る)はある程度普通な心の動きから来る行動っぽいので理解しやすそうです。
選択肢の吟味
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