センター試験(共通テスト)国語 2020本試[1(評論)]解説

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解説

ご留意
選択肢の吟味において、「×・△・?」を選択肢の該当箇所に付けていきます。×は「これはちゃうやろ」、△は「ちゃうかもしれん」、?は「びっみょ〜」って感じです。結局は△と?がついた箇所の吟味となることがほとんどです。
あと、私が解答作成前に解いて間違えたところは正直に言います(かなしいけど)。ちょっとご参考にください。

問1

(ア)促進 ①結束 ②目測 ③捕捉 ④自足 ⑤催促

捉えると促すがややむずいです。

(イ)健康 ①小康 ②候補 ③更迭 ④甲乙 ⑤技巧

「小康」と「更迭」がやや馴染みの薄い語かもしれません。

(ウ)権限 ①棄権 ②堅固 ③嫌疑 ④検証 ⑤勢力圏

どちらも権利に関わる語なので比較的わかりやすかったかも。

(エ)偏って ①編集 ②遍歴 ③返却 ④偏差値 ⑤変調

「偏在」と「遍在」はよく出ます。意味はほぼ反対なのに。

(オ)頑健 ①対岸 ②主眼 ③岩盤 ④祈願 ⑤頑強

頑固な感じですね。

問2 正答②

間違えましたが、あんまり納得いってない設問です。私は④を選びました。

選択肢を見る前に、レジリエンスと「回復力(復元力)」および「サステナビリティ」との間にある違いについて整理します。

「回復とはあるベースラインや基準に戻ること」である一方、「レジリエンスでは、かならずしも固定的な原型が想定されていない」「絶えず変化する環境に合わせて流動的に自らの姿を変更しつつ、それでも目的を達成するのがレジリエンスである」とあります。回復は、「戻るべき姿を定め、それに戻そうとすること」であり、レジリエンスは「動的に変化しつつ発展成長することを目指す」ものだとわかります。

また、サステナビリティは「唯一の均衡点が生態系のなかにあるかのように期待されている」一方で、「レジリエンスで目指されているのは、健康なダイナミズムである。レジリエンスには、適度な失敗が最初から包含されている」とされています。ここで言うサステナビリティは「安定したこの状態が持続するようにしようね」であり、レジリエンスは「時々はぐらぐらしてもいいし、全体的に動きながら発展していこうね」です。

選択肢の吟味

①「回復力やサステナビリティには基準となるベースラインが存在しないが」が×です。全然反対のことを言っています。

②正答です。が、「レジリエンスは環境の変化に応じて自らの姿を変えていくことを目指す」に私は△を付けたので間違えました。レジリエンスが目指すのは「自らの姿を変えていくこと」ではなく「自ら姿を変えつつ成長発展すること」じゃね?って思ったので……。う〜ん。これはちょっとわからないです。

③「回復力やサステナビリティは環境の変動に応じて自己を更新し続ける」が×です。「環境の変動に応じて自己を更新し続ける」はレジリエンスの説明になってしまっています。

④私はこれを選びましたが間違いのようです。考え直しましたが、「回復力やサステナビリティは生態系の中で均衡を維持する自然を想定する」が?なのかもしれません。回復力やサステナビリティが想定するのは「戻るべき・持続すべきベースラインや理想状態」であって、「均衡を維持する自然」ではないということでしょうか? う〜ん。イマイチ納得しきらん。それとも、「レジリエンスは均衡を調整する動的過程として自然を捉える」が違うんでしょうか。レジリエンスに「均衡を調整する」と言うのは確かにちょっと違う気がします。

⑤「レジリエンスは自己を動的な状態に置いておくこと自体を目的とする」が△です。レジリエンスの目的は、動的に変化しつつ成長発展することです。じゃあ②も×なんじゃね?と思うのは私だけでしょうか。

問3 正答③

「脆弱性」がレジリエンスにおいてどのように重要なのかを考えます。基本的には同段落の傍線部より後の箇所です。「脆弱性とは、変化や刺激に対する敏感さを意味しており、このようなセンサーをもったシステムは、環境の不規則な変化や攪乱、悪化にいち早く気づける」とあります。問2で見たように、レジリエンスは環境の変化に合わせて動的に変化しながら成長発展を目指すものです。よって「環境の変化」に敏感である必要がありますが、「脆弱性」はそういった環境の変化に対する敏感なセンサーになるため、レジリエンスにおいて大切だ、ということですね。

選択肢の吟味

①「脆弱性は、被支援者が支援者にどれだけ依存しているかを測る尺度となる」が△です。脆弱性の説明が本文と異なります。

②「脆弱性は、変化の起こりにくい環境に変化を起こす刺激として働く」が×です。そのような記述はありません。

③正答です。上述した内容に沿っています。

④「(脆弱性は)人間と環境の双方に対応をうながし、均衡状態へと戻るための重要な役割を果たす」が△です。

⑤「脆弱性は、人の回復力が不十分な状態にあることを示す尺度となる」が△です。脆弱性に関する説明から外れていますし、「回復」の方に主眼があるのも全体的に良くない感じです。

問4 正答②

なんか微妙な物言いで要領が掴みづらいですが、本文の記述に沿っていくことを意識し続けながら選択肢を弾いていく感じになると思います。

傍線部直後が「すなわち」ですので、後ろを読んでいきましょう。ただ、「すなわち」直後の一文が言い換えになっているというよりは、「すなわち」以降の部分が全体として「すなわち」より前の一文の言い換えになっていると捉えた方がわかりよいです。

「福祉の目的」は「変化に適切に応じる」ための「柔軟な適応力を持てるようにすること」です。そして「福祉」は「その人のニーズを充足すること」であり、「ニーズを充足するには(中略)自分自身でそのニーズを能動的に充足する力を持つ必要がある」とあります。こういった箇所に「レジリエンス」はよく働くということですね。

選択肢の吟味

①「必要な社会体制を整備することが求められる」が△です。ここでいう「福祉」への支援は「社会体制」に主眼を置いたものではありません。

②正答です。「その能力」=レジリエンスですね。

③「個人が環境の変化の影響を受けずに自己のニーズを満たせること」が△です。環境の変化を受けないのではなく、環境の変化に応じて変化するというのがレジリエンスの目指すところとなります。

④「支援者には被支援者のニーズに応えて満足してもらえるよう尽力することが求められる」が×です。「自分自身でニーズを満たす力を付けてもらう」観点に反しています。

⑤「経済力を持つこと」が×です。あんまりそういう話はしていません。

問5 正答②

こういう会話文に出てくる生徒、なんか怖いですよね。私はいつもこういうの、高校生ではなくこういう生命なのだと思って読んでいます。笑

「発展成長する動的過程」を高校生に当てはめるとどういう感じになるのかという問題として理解しましょう。また、その際には(生徒Cが反論しているので)生徒Bの理解はイマイチだということも踏まえましょう。

第五段落〜第六段落から、「発展成長する動的過程」は「ベースラインや基準に戻ること」ではないし、「適度な失敗が最初から包含されている」「健康なダイナミズム」であると書かれています。この辺から考えられそうですね。

選択肢の吟味

①「休まず練習を積み重ねたからこそ、最後には地区大会で優勝できた」が△です。あまり「過程」のことが詳述されておらず、失敗を包含した動的な過程を述べられているとは言えません。まぁ経験の中には動的な過程が含まれているかもですが、述べられていないって意味で選択肢としては不適切です。

②正答です。「うまくいかなかった」「現状に合うように工夫した」「まとまりが出てきた」が、それぞれ「失敗を包含」「環境に応じて」「成長発展」に対応します。

③「あくまで私たちの自由な発想を生かしていくことが大切」が△です。言ってることは一般的に正しそうなことなのですが、「成長発展する動的過程」ではありません。

④「決まったことを学ぶだけでなく、将来のニーズを今から予想していろんなことを学んでおくのが重要」が△です。これも「成長発展する動的過程」になっていません。

⑤「オンとオフは切り替えなきゃ」が△です。「環境の変化に対応する能力」かどうかも怪しく、全体的に話がよくわかりません。笑

問6(i) 正答①

該当箇所を述べてくれているので、その部分に逐一戻って考えます。表現に関する設問は判断が曖昧になりやすいですが、違うと言えるものを外していって、正答できる確率を上げていきましょう。

選択肢の吟味

①正答です。「〜としよう」で、仮定の状況を示しているという点は合っていますし、それ以降も否定できるところがありません。

②「筆者が独自に規定した意味で用いている」が△です。「ここで言う」は「自己の維持」にかかっていますが、筆者独自の意味を提示するものではなく、「物理的な弾力」ではないよ、ということを述べているに留まります。

③「直前の表現は本来好ましくないが、あえて使用しているという筆者の態度を示す」が?です。「サステナブルな自然」という表現に対する筆者の見解は述べられていますが、「これは好ましくないが私はあえて使っている」という態度は書かれていません。やや外すのがむずいです。

④「筆者から患者に対する敬意を示す」が×です。「される」を受け身・自発ではなく尊敬として取ってるということなのかもしれませんが、やや無理矢理すぎな印象です。笑

問6(ii) 正答④

「適当ではないもの」なので気をつけましょうね。そんなんで点落としたらたまったもんじゃないですし。

選択肢の吟味

①〜③合っています。

④「筆者の立場から反論している」が×です。第十三段落は、そこまでのレジリエンスの議論を踏まえて別の側面を「提案」している段落であり、「反論」ではありません。

読解後のつれづれ

「レジリエンス」は変化の激しい現代社会において大事な能力と言えるかもしれませんね。個人的に、第十三段落の「自分自身のでそのニーズを能動的に充足する力を持つ必要がある」という内容と、そのためのレジリエンスという書き方は共感できました。人は最後には、ひとり。

今回もお疲れ様でした! 引き続き生きていきましょう。

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