大学入学共通テスト国語 2021本試[4(漢文)]解説

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解説

ご留意
選択肢の吟味において、「×・△・?」を選択肢の該当箇所に付けていきます。×は「これはちゃうやろ」、△は「ちゃうかもしれん」、?は「びっみょ〜」って感じです。結局は△と?がついた箇所の吟味となることがほとんどです。
あと、私が解答作成前に解いて間違えたところは正直に言います(かなしいけど)。ちょっとご参考にください。

問1

(ア) 正答①

「徒」は「ただ」で、意味も普通に「ただ〜だけ」「なにより」などで考えることが多いと思います。現代語では選択肢の「只」の方が一般的ですね。それ以外の選択肢は意味が大きく異なるため、不適切です。

(イ) 正答⑤

「固」は副詞として使われる場合、「固より」で「もとより」と読み、「当然のことながら」「本来・もともと」といった意味を表します。よって⑤の「本」です。よく問われるので覚えてしまいましょう!

ただ、なんで副詞ってわかるんや、という話ですね。波線(イ)が含まれる箇所の主語・述語は「此の術(主)深し(述)」であり、主述の関係はできています。そのうえで、今回の「固」は「已に」という明らかな副詞の上に付いているので、おそらくこいつも副詞と捉えられるというわけです(下に名詞っぽいやつが来てたりしたら、「固」が形容詞である可能性も検討しないといけませんが)。漢文は、現代中国語とも語順が(概ね)同じで、副詞は割と自由な位置に付けられますが、文全体に係らない限り、基本は下の漢字(句)を修飾します。今回の「固」は「已に深し」をまとめて修飾している感じですね。

問2

(1) 正答⑤

そんなに難しくございません。「千里の馬」に関して「馬の毛並みと骨格が、引き締まって美しい」にかかっているので、疑問にしない方が繋がりが良いです。てか、疑問にするなら冒頭に「何」が来るはずです。疑問と反語と詠嘆(感嘆)は、いろいろな言語で共通の形式を取ることがあります。英語の感嘆文もwhatやhowを使うのと同じです。

(2) 正答③

「中国全土を周尋することができる」となり、「周遊」とかに近そうですね。さまざまなところを巡るような意味合いになりそうなので③で良いかと思います。

(3) 正答④

二文字なのにえらい長い解釈ですね。笑

直訳すると「至れるなぁ」なのですが、後まで含めて解釈すると、「よくぞここまで至れるものだ、人と馬は。両者が楽しみ、互いに侵害しない関係にまで」というような感じです。選択肢は、文字上では疑問みたいな書き方をしていますが、感嘆と疑問の話はさっきした通り、これはどちらかというと感嘆だと思います。

問3 正答②

こちらもそれほど難問ではないです。問題文Ⅱを踏まえよと言ってくれているので、問題文Ⅱの一文めを参考にしましょう。おそらく「馬の身体が馬車に安定して(馬が走りやすいように)繋がっており、人の心が馬に通じていて、初めて速く遠くまで進むことができる」という感じの内容かと思います。傍線部Aは「(実際に駆ける)四足は馬にあると言っても、(馬の走りが)速いか遅いかは私の[X]にある」なので、まぁ〜②の「心」ですね。

問4 正答④

やや難しめですが、前後の文脈から考えられます。一行前は「東西南北、山も林も駆け上がったり駆け降りたりできる」、後は「中国全土のあらゆるところを尋ねることができる」なので、まとめると「どこでも行ける」ですね。その文脈と、白文の漢字から傍線部Bの内容を推測すると、「ただ、行きたいと思ったところに(どこでも行ける)」ということなのかな〜と考えられます。これに合うのが④です。

ちなみに、「欲」を「欲す」とする場合、欲しい(したい)対象は下の漢字(句)になります。

問5 正答⑤

比較的マシです。送り仮名が付されていないのがややツラいですが、ちゃんと逐一訳そうとすれば大丈夫なはず。概ねの逐語訳は、「今、あなた様は(私に)遅れれば私に追い付こうとし、(私の)前に出れば私に追いつかれることを恐れていました」とかですね。これに最も忠実なのが⑤です。

選択肢の吟味

あんまり消去法でやる余地がないので、悪しからず割愛いたします。

問6 正答③

本文全体を通して、述べられていないことが含まれている選択肢を外していきましょう。まぁ〜それっぽいことが書かれていますが、「そんな話してなくね」という目で見れば大丈夫のはずです!

選択肢の吟味

①「よい馬車を選ぶことも大切である」が△です。馬車の話はあまり出てきませんでした。

②一番外しづらかった選択肢ですが、「馬の体調を考えながら鍛えなければ、千里の馬を育てる御者にはなれない」が△かなと。「馬を速く遠くまで走らせる」がテーマなので、「馬を育てる」は少しずれます。

③正答です。「襄主」が気をとられている「他のこと」とは、「王良に追いつこう、追いつかれないようにしよう」といったことを指していると思います。

④「馬を厳しく育て、巧みな駆け引きを会得することが大切である」が△です。②と同じく、馬を育てることや競争に勝つことが主眼になってしまっています。

⑤「山と林を駆けまわって手綱さばきを磨くことも大切である」が△です。そんな主張は入っておりません。

読解後のつれづれ

本文が短めで読みやすかった気がします。現代文が比較的厄介だったので、古典はマシにしたのでしょうか。

小さな話ですが、「王良」が問題文Ⅱのリード文で説明される前に、問題文Ⅰの文中で登場しており、一瞬戸惑いました。笑 注釈付けてくれてもいいのに、とちょっと思います。

また、注付きで「歩驟」という言葉が出てきましたね。「驟」という漢字はなかなか馴染みのないものですが、私はゼルダの伝説で出てきたのを思い出しました……笑 ゲームの中で馬に乗れるのですが、速いスピードで駆けている時に、さらに馬をはやして少しの間もっと速く走らせることができ、それを「驟歩」と呼んでいたような。そういうのもありますね。

とまぁ今回もお疲れ様でした!

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