解説
ご留意
選択肢の吟味において、「×・△・?」を選択肢の該当箇所に付けていきます。×は「これはちゃうやろ」、△は「ちゃうかもしれん」、?は「びっみょ〜」って感じです。結局は△と?がついた箇所の吟味となることがほとんどです。
あと、私が解答作成前に解いて間違えたところは正直に言います(かなしいけど)。ちょっとご参考にください。
問1
(ア) 正答①
「由」は結構いろんな意味があり、知識的なところだけでは解きづらいところではありますが、概ね「理由、原因、経緯、方法」などが意味合いとなります。これに合うのは ①方法がない と ③原因がない になります。前後の「然リ而シテ〜」と、傍線部B「豈不貴賤〜」から考えると、「君主は賢者を求めようとして得られず、臣下は役に立とうとして○○がないのは、身分がとても隔たっており……」となります。ここに入れるのなら「原因」よりは「方法」の方が良さそうです。「者」が助詞の「は」として働くのは覚えてましたでしょうか?
(イ) 正答①
主語は「臣」なので「私め」です。傍線部の後は「賢者を求めるのには方法があり、賢者を弁別するのにはやり方がある」と言っており、筆者自身の考えをここから展開しそうな感じです(実際します)。ので「考えるに」で良さそうです。訓読するなら「以て為すに」で、「ここまでを踏まえて私の考えを形作るに」とかでしょうか。
(ウ) 正答⑤
↑で書きましたが、「賢ヲ(賢者を)」に続くので「弁別する」が一番良いかと思います。これ以降に展開される考えも、君主が賢者を獲得するためのものであるとともに、良い賢者を選出するための方法でもあります。
問2 正答③
二重否定に気をつけましょう。直訳すると、「君主で賢者を求めない者はおらず、賢者で役に立とうと思わない者はいない」です。この直訳に合うものは③くらいなので、選択肢の吟味も簡便なものとさせていただければ。
選択肢の吟味
①「賢者は無能な臣下を退けたいと思っている」が×です。
②「賢者は君主の要請を辞退したいと思っている」が×です。
③正答です。
④「賢者は自分の意見は用いられまいと思っている」が×です。
⑤「君主は賢者の賞賛を得ようと思っており」が×です。
問3 正答⑤
このタイプの問題、昔から結構苦手なんですよね〜。とりあえず、書き下し文をヒントにして①〜⑤の選択肢がどのように違うかをまず考えましょう。
①〜④までは、「不」をどこにかけているかが違うことがわかります。書き下し文で「ならず」が入っているところに印をつけていただくと、「ならず」がだんだん下の方に行っていることがわかります。
ただ、「貴賤相懸、朝野相隔」「堂遠於千里、門深於九重」は、それぞれ対句の形で、「(君主と賢者は)めちゃ離れてる」ってことを言っているわけです。対句であるなら、この対句の間に「ならず」が入るとも思えませんし、両方とも「めちゃ離れてる」なら、(②のように)片方だけを否定するのも変なもんです。よって④と⑤になるのですが、④は「不」の使い方がおかしいので×です。「不」は基本的に一つ下の漢字を否定します。よって残る⑤が正答です。
選択肢の吟味
↑でほとんど書いたので略とさせていただきます。
問4 正答①
「其れ猶ほ線と矢とのごときなり」の後に、「線は針に因りて入り、矢は弦を待ちて発す」と言っていますので、線(糸)も矢も、別の何かと組み合わされて初めて役に立つことができる、というような内容となります。
選択肢の吟味
①正答です。
②結びつくのは「線」と「矢」ではなく、「線と針」「矢と弦」です。
③「発揮できない」が×です。
④「助け合ったとしても力を発揮できない」が×です。
⑤「助けを借りなくても力を発揮できる」が×です。
問5 正答③
「若し(もし)類を以て求むれば」に続きます。「類を以て求めれば、こういうことになるよ」って言いたい感じです。内容的に繋がるものを選べばなんとかなる気がします。
選択肢の吟味
① 「類を以て求めれば、類を以てしないで至るからである」になります。意味不。
② 「類を以て求めれば、どうして類を以て至るだろうか(いや至らない)」になります。う〜ん。
③正答です。「類を以て求めれば、必ず類を以て至るからである」になります。そらそうなんですが、通ります。
④ 「類を以て求めれば、いったい誰が類を以て至るだろうか(いや至らない)」になります。どっちやねん。
⑤ 「類を以て求めれば、かつて類を以て至ったからである」になります。時系的に一般的な話をしていそうなので、「かつて」はちょっと合わないかと思います。
問6 正答④
そんなに難しくないです。直前の、「猶ほ水の湿に流れ、火の燥に就くがごとく」をちゃんと取れればOKです。
選択肢の吟味
①「水と火の性質は反対だがそれぞれ有用であるように」が△です。そんな話はしていません。
②「互いに打ち消し合うように」が△です。そんな話はしていません。
③「性質の似通ったものはそれぞれに大きな作用を生み出す」が△です。そんな話はしていません。
④正答です。「水は湿ったところに流れ、火は乾燥したところへと広がる」が適しています。
⑤「それぞれ長所と短所がある」が△です。そんな話はしていません。
問7 正答④
本文全体の内容に適しているものを選んでいきます、というか、適していないものを外していきます。
選択肢の吟味
①「賢者を求めるためには採用試験をより多く実施することによって」が△です。本文に含まれない内容でした。
②「君主と賢者の心が離れているためであり」が△です。身分や距離の隔ては言及されていましたが、心理的隔たりのような趣旨ではありません。
③「その賢者が党派に加わらず、自分の信念を貫いているかどうかを見分けるべき」が×です。「類」を明らかにして推薦させるという本文内容に反する内容です。
④正答です。特に反することはありません。
⑤「やって来る人々を広く受け入れるべき」が△です。君主と賢者の隔たりとして「九重の門がある」は述べていますが、「門を解放して多くの人を受け入れるべき」のような内容はありませんし、筆者の解答の主軸からも外れます。
読解後のつれづれ
今回も満点取れました。よかったよかった。現代文が厄介だった分、古典は比較的解きやすめにしてある印象です。漢文も「予想問題」と「模擬答案」にしてある以外は概ね「普通」な問題でしたし。
科挙の勉強として、「予想問題を作って自分で解く」というのは有効な勉強法なのでしょうか? こんな感じの課題解決型の問題は、「自分で作って自分で解く」というより、「他者に解いてもらう・一緒に解く」とかをすると勉強になる気がしますね! 自分にはない発想がもらえそうで。
とはいえ我々に立ちはだかるは科挙ではなく共通テスト。いろいろ考えつつも1つの答えがある問題です。窮屈かもしれませんが、それもまたいろんな考え方が過程にはあるものです。そういうのをちょっとでも広げられるといいのですが……。
さてはて、今回もお疲れ様でした!