このページは、2026年度大学入試共通テスト本試験 国語 大問4(古文)の解説です。
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解説
選択肢の吟味において、「×・△・?」を選択肢の該当箇所に付けていきます。×は「これはちゃうやろ」、△は「ちゃうかもしれん」、?は「びっみょ〜」って感じです。
問1
(ア) 正答①
「騒がしければ」は已然形+「ば」になっているため、順接確定条件で「ので」です。超基本的な文法事項です。よって③・④は不適です。そして「えなむ」ですが、これは「えなむ弾かぬ」のようなものの省略だと思われます。「え〜打消」で「〜できない」と、「なむ」は係助詞で、間に挟まっているだけです。そんな省略どうやって復元すんねんという話ですが、傍線部の前では仲忠が琴を弾くのをやめて尚侍のおとどに話しかけている描写があり、傍線部は「今、曲一つ仕うまつらむとすれど(今、曲を一曲演奏し申し上げようとしましたが)」に続く箇所となりますので、「弾くことができません」の方が文脈上適切となります。そこから逆算して省略の可能性を検討した形です。文脈大事ってことにもなっちゃいましたね。
(イ) 正答③
「はしたなげ」は、「横にいるとすわりが悪い」「場にそぐわない」といった意味合いです。「はした」は「端」なので、横にいるのが良くないってイメージです。「ぞ」は強調の係助詞なのでそんなに訳出する意味はありませんが、「あめる」は「あんめる」→「あるめる」で、「あり」(撥音便無表記)と推定の助動詞「めり」の連体形(係り結びの結果)です。「めり」は視覚情報からの推定ですので、「〜なように見えます」という意味合いから、「この場においてはそぐわない(体裁が悪い)ように思います」となります。
(ウ) 正答④
良い文法の問題です! 「てむ」は強意の助動詞「つ」の連体形と、推量の助動詞「む」の終止形ですので、「きっと〜だろう」「今にも〜だろう」という意味合いです。また、強意の助動詞「つ」は連用形接続ですので、「たまひ」は普通に四段活用の「たまふ」であり、尊敬の補助動詞(「〜なさる、お〜になる」)です。よって全体としては「今にもきっと風をお引きになってしまうでしょう」という感じになります。
問2 正答②
こちらもほぼ文法知識がしっかりしていれば取れる設問です。やはり文法こそパワー……。
選択肢の吟味
①「『聞こゆるなり』は、『なり』が伝聞の助動詞で」が×です。伝聞の「なり」は終止形接続なので、伝聞であれば「聞こゆなり」になるはずです。「聞こゆる」と連体形になっているので、連体形接続の「なり」=断定の「なり」です(「申し上げるのだ」)。
②正答です。尚侍のおとどが、「(龍角の琴を仲忠の娘に)取らせよう」と言っている箇所です。
③「『はべら』が謙譲語で」が×です。「はべり」は確かに謙譲語として「お側にいる、お控えする」のような意味もありますが、ここではサ変動詞の「す」に付いて補助動詞的に使われているので、「です・ます」の丁寧語です。丁寧語は「話者から向かい合っている相手」への敬意となりますが、仲忠はこのセリフを誰に対して言っているのかあまり判然としませんので、敬意の方向としても不明瞭です。
④「見事に琴を弾く尚侍のおとどに対する仲忠からの敬意」が×です。ここは仲忠が妻(宮)に対して「(起き上がると身体に悪いので)やはり寝転びなさってお聞きになりなさい」と言っている場面です。よって、敬意の方向としては「仲忠→宮」です。
問3 正答②
第一段落の内容を順番にさらっていく感じになります。該当箇所とともに、順番に選択肢を見ていきましょう。
選択肢の吟味
①「龍角を、自分といぬがこれからも大切に守り続けてゆくと誓った」が△です。仲忠が言ったのは、龍角をいぬに与えようという意向までであり、「自分も一緒に守り続けていく」とは言っていません。
②正答です。本文で言えば「いつしかとも、はた。さても、かやうの折には言ふやうかある(早いものだ、まぁ。そうは言っても、このような時(いぬが生まれて直後)に言うようなことなのか)」に相当します。
③「生まれた子に琴を与えるのは一般的なことなので」が△です。「おほかたのことは、いかがはべらむ」は、「普通のことは、どうありましょうか(どうあっても構いません)」という感じかな〜と思います。そんなことよりも、この子は琴の一族に生まれたのであるから、琴について考えよう、という文脈かと思いました。
④「尚侍のおとどと典侍は、相談の上で」が△です。典侍はただの伝言役で、尚侍のおとどの言葉を大将のおとどに伝えに行ったくらいのポジションです。「○○して」は漢文の「〇〇ヲシテ」に近く、「〇〇に〜させる」という意味を含みます。よって「典侍して」は「典侍に伝言させて」のような感じです。
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問4 正答④
こちらも特定の傍線部があるわけではないので、順番に見ていきましょう。
選択肢の吟味
①「誇らしげな歌声を交えてさまざまな音色を響かせた」が?です。「声、いと誇りかににぎははしきものから、また、あはれにすごし」とはありますが、これは「はなやかに弾く」から続いていますので、仲忠の声ではなく琴の演奏についての言及に思われます。
②「鬼を追い払うほどの強い効果があった」が△です。注釈にある通り、仲忠の演奏は天変地異などの不思議な現象を引き起こす力があり、本文においても仲忠が琴を弾くと「空のけしき騒がしげなれば(空の様子が騒がしくなってきたので)」とされています。それに対して仲忠は「わずらわし」と思い、尚侍のおとどに対して「これに御手一つ遊ばして、鬼にがさせたまへ(これをお母様のお手で演奏しなさって、鬼を逃がさせてください)」と言っていますので、「鬼を逃す」音色はどちらかと言えば尚侍のおとどのものです。
③「尚侍のおとどはいつものことながら仲忠が琴を弾くのはやっかいなことであると思った」が×です。②で上述の通り、「例の、物、手触れにくきぞかし。わづらはし」と思っているのは尚侍のおとどではなく仲忠です。
④正答です。仲忠に琴を弾いてくれと言われ、尚侍のおとどは一度「はしたなげにあめる(体裁が悪いように思います)」と断りますが、仲忠に「仲忠がためには、これにまさる折なむはべるまじき(私のためには、これに勝る時はあるはずがない)」と言われ、素晴らしい音色を演奏しました。
⑤「宮自身も演奏に参加した」が×です。宮は尚侍のおとどの演奏で気分が良くなり起き上がりますが、終わりの方に「騒ぎ臥せたてまつりたまひつ(大騒ぎしてお寝かせ申し上げなさった)」とありますので、演奏に参加したような描写はありません。そりゃ出産直後ですから。
問5 正答④
こちらも特定の傍線部ではないので、選択肢の吟味に代えさせていただきます。
選択肢の吟味
①「本文でも尚侍のおとどは琴の一族以外の人の前で演奏することを最初は拒んでいた」が?です。確かに仲忠との問答はありましたが、「一族以外の人の前で演奏することを拒んでいた」と読み取れる箇所は本文にありません。
②「本文でも仲忠の後継者が長年不在であったことに対する世間の嘆きの声が記されていた」が?です。こちらもそれっぽい記述が本文に見当たりません。
③「本文でも仲忠は龍角の演奏を聞いて幼少時を思い出していた」が?です。こちらもシンプルに根拠薄弱です。
④正答です。「それをなむ、かの児になむ」は「それをですねぇ、あの赤ちゃんにですねぇ〜」のような感じです。また、第二段落の始めあたりで、「児を懐に入れながら」とありますので、仲忠がいぬを抱いていたこともわかります。
⑤「『いといみじきものを得たりける女子にもあるかな』との帝の発言からは、尚侍のおとどが並外れた琴の奏法を持ち合わせていることが分かる」が×です。「いといみじきものを得たりける女子」は、文脈からして龍角を与えられたいぬを指します。
読解後のつれづれ
要所要所の文法事項が効いてくる大問でした。全体的に癖がある感じでもなく、素直にちゃんと読めていれば解けていく感じです。やはり文法が固まっていないと丁寧な読解力も難しくなっていきますので、改めて本大問で出てきた事項は頭にしっかり入れておきましょう!
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